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SWEETでは数年に一度、アメリカへ渡り、海外のパン文化や働き方を直接学ぶ研修を実施しています。2025年は西海岸のシアトルとサンフランシスコを訪れ、6日間にわたり現地のベーカリー、マーケット、そして人々との交流を通じて多くの学びを得ました。

今回から3回に分けて研修の様子をお届けします。初回は「シアトル前半編」。創業の地を訪ね、現地の人気店や街から学んだ気づきをまとめました。

創業の地シアトルで

初日はシアトルのダウンタウンを歩きました。最初に訪れたのは、スヰト創業者・渡邊宗七郎がかつて開いた「シアトル開運堂」の跡地。スヰトの歴史が始まった場所です。現在は高層ビルが立ち並び、当時の面影は残っていませんでした。しかし、ここから挑戦が始まったと思うと、スヰトの一員として原点に立ち返る時間となりました。

さらに、閑静な住宅街・キャピトルヒルにも足を運びました。大手企業の進出で地価が高騰し、暮らしに影響が出ていると聞きました。パンを作るという仕事は地域の人々の暮らしに根ざす存在です。だからこそ、こうした社会の変化を自分たちとは無関係なこととは思えませんでした。

三角サンド専門店「トレス」

日本人オーナーの小笠原さんが営む「トレス」を訪問しました。このお店は三角サンド専門店で、約60種類のバリエーションのうち常時40〜50種類を展開。どれもユニークで美味しく、シアトルで着実にファンを広げています。

また、イベントや出張販売ではキッチンカーも活用。後部を販売スペース、中央を冷蔵庫にすることで、できたてのサンドイッチを効率よく提供できるよう工夫されるなど、柔軟な運営体制と創意工夫が印象的でした。

現場での実習 ― トレスでのサンドイッチづくり

実際にヘルプとして製造現場に参加しました。

トレスでは、製造から販売まで随所に工夫が見られます。食パンの製造数をあらかじめ決め、無理な拡大をせず品質を最優先。生産管理にはExcelを用い、全員で情報を共有しながら仕込みを分けて進めることで、食材ロスをほとんど出さない仕組みをつくっています。

市販の容器や道具を無駄なく活用する工夫、そしてスタッフ全員が笑顔で挨拶を交わす明るい雰囲気。特別な技術だけでなく、日常の基本を大切にすることの重要さを改めて感じました。職場の空気そのものが、商品やサービスの質を支えているのだと実感しました。

こうした仕組みは、効率を追求しながらも「お客様に美味しいサンドを届けたい」という想いが根底にあります。前回訪問時よりさらに進化しており、「私たちも負けていられない」という気持ちが自然と湧いてきました。

スーパー「QFC」と 「パイクプレイス・マーケット」 からのヒント

アメリカの一般的なスーパー「QFC」を訪れました。生鮮食品の豊富さと一つひとつのサイズの大きさに驚かされます。肉や魚、チーズまで大胆にカットされ、チーズの種類も非常に多彩でした。また、スープをセルフで注ぐスタイルが印象的で、日本のベーカリーでも応用できそうな魅力的な仕組みでした。

続いて、100年以上続く公共マーケット「パイクプレイスマーケット」へ。生鮮食品や工芸品、飲食店が立ち並び、地元の人から観光客まで多くの人で賑わっています。ここは日系移民や日系アメリカ人の農家によって基盤が築かれ、戦争による衰退と保存運動を経て、いまではシアトルを代表する観光名所となっています。

マーケット内にはスターバックス1号店もあり、オリジナルグッズを求める観光客で常に行列ができていました。歩きながら、「もし縄手通りがこんなふうに発展したら…」と未来を想像し、街とベーカリーの関係性について改めて考える機会となりました。

世界チャンピオンのベーカリー「ヌーヴォー」

今回の研修のメインの1つでもある、シアトルで3店舗を展開する「ベーカリーヌーヴォー」。オーナーのウィリアムさんは、世界大会クープ・ド・モンドで優勝経験を持つトップ職人です。

パンだけでなく、チョコレートやパネトーネ、ケーキ、コーヒー、ジェラート、ジャムまで幅広く手がけ、すべてに精通しています。

印象的だったのは、その姿勢。「慣れた場所に留まらず、常に新しいことに挑戦したい」「やりたいから没頭できる。だから苦痛ではない」という言葉。カカオ豆からチョコを作るという手間のかかる工程すら「趣味」と語り、楽しんで取り組んでいる姿に、職人としての原動力を見ました。

私たちも「制限を設けず、もっと挑戦して良いのではないか」と気づかされました。まさに「好きこそ物の上手なれ」を体現する姿でした。

まとめ

シアトル前半の研修では、街の歴史と現実、効率的な生産管理、地域と文化をつなぐマーケット、そして世界に挑戦し続ける職人の姿を目の当たりにしました。

スヰトの原点を確かめるとともに、パンづくりが「社会や人の暮らし」と深く結びついていることを改めて実感する時間でもありました。現地で得た刺激や学びを、日々の製造やお客様へのサービスに活かしていきます。

次回Vol.2では、ボーイング社や人気ベーカリー、現地の方々との交流から見えた「チームとしての学び」や「仕事の在り方」についてお届けします。

Vol.2はこちら
【海外研修レポートVol.2】工場・店舗・人との出会いから見えたこと

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(投稿日:2025/10/28)