松本市立鎌田小学校では、総合的な学習の時間の一環として「パン・ピザづくり」に取り組む学習が行われています。
今回ご紹介する内容は、鎌田小学校の先生方よりご報告いただいた学習の様子と、SWEETが関わった取り組みをまとめたものです。
子どもたちが自分たちでテーマを選び、計画・試作・振り返り・改善を重ねていくこの取り組みは、5年生で始まった活動を6年生でも発展させながら続けています。その学びは、調理の枠を越えた探究活動へと広がっています。
■ 興味関心から始まった「パンづくり」
~試作 → 振り返り → 改善のサイクルへ~
総合学習のテーマを決める話し合いの中で、「自分たちで作ってみたいもの」「挑戦してみたいこと」を出し合った5年生。その結果、「パン・ピザづくり」に挑戦しようという結論に至り、学習が始まりました。
活動がスタートしてからは、まずクラス全体でパンづくりの流れや道具の扱い方を確認。第1回のパンづくりでは、レシピどおりに焼き上げることで精一杯でしたが、完成したパンを見たとき、「もっともちもちにしたい」「焼き目をつけてみたい」「今度は材料を変えてみたい」といった願いが自然に生まれました。
第2回では、その願いをクラス全体で共有し、思いの近い仲間でチームを組んで再挑戦。材料の比較実験や、なぜ空洞ができるのかという推測など、パンづくりが「試行錯誤の学び」に変わり始めました。

■ つながりを見つめ直す話し合い
~「誰かに食べてもらいたい」という目的の誕生~
第3回には惣菜パンに挑戦するなど、新しい試みに踏み出すグループも出てきました。ただその一方で、これまでの課題や検証ポイントが十分に生かされず、「追究の筋道」が途切れそうになってしまう場面も見られました。そこで改めてクラスで、「この活動で何を目指すのか」をじっくり話し合うことに。
その中で、「作ったパンを食べてもらいたい」「販売してみたい」「お店のパンって全然違うね…パン屋さんに聞いてみたい!」といった声が上がり、初めて「本物のパンづくりのプロに学びたい」という思いが芽生えました。

この思いを受けて、 鎌田小学校からSWEETへ協力依頼をいただき、〈ベーカリースイート並柳店〉店長・山村が総合学習に関わることになりました。
■ SWEET が 鎌田小学校 へ
~専門家のアドバイスで学びが一気に深まる~
第4回では山村が学校を訪問し、子どもたちのパンを試食。発酵の見極め方、生地づくりのポイント、温度と食感の関係など、プロならではの視点からアドバイスを伝えました。
アドバイスを受けた児童たちの振り返りには、「発酵はパンの命だと思った」「冬休みに発酵の実験をしてみたい!」と書かれており、探究テーマが「発酵」「食感」など、より専門的で明確な課題へと深まっていったことがわかります。

■ 保護者へのパン販売
2月には、これまでの学びを活かした保護者向けのパン販売も行われました。
自分たちで考えたレシピが「商品」として並び、お客様の前で説明したり、お金のやり取りをしたりする中で、学習が実生活とつながる手応えを味わう姿が見られました。
ひとつの活動を「つくる → 伝える → 届ける」までやり切った経験は、6年生の探究活動に向けた大きな自信にもなっています。

■ 商品化を目指した本格的なレシピづくりへ
6年生になると、活動はさらに商品開発へとステップアップ。SWEETから教わった商品づくりのポイントを意識しながら、季節性、地元食材、見た目など、それぞれが工夫をこらしたオリジナルレシピづくりに挑戦しました。
クラスでは、「誰が食べてもおいしく・楽しく・笑顔になれる6年1組のパン」という目標を設定。これまでの試行錯誤の経験をもとに、一人ひとりがアイデアを出しながら、レシピに気持ちを込めていきました。

子どもたちが考えた22案のレシピは、すべて山村が一つひとつ確認し、その中から実現できる可能性の高い8案を選び、SWEETで試作しました。
10月には第1回試食会を実施。子どもたちは見た目や大きさ、甘さ、味の濃さなどを丁寧に比べながら、より良い商品にするための意見をクラス全体で出し合いました。

11月には改良した試作品の第2回試食会を実施。
子どもたちの声が実際の形として反映されたことで、パンづくりへの意識もさらに高まり、商品化への期待と実感が大きく膨らんだ様子でした。

■ 告知
12月1日(月)~12日(金) 販売会開催!
これまでの学びの集大成として、12月に〈ベーカリースイート並柳店〉で販売会を開催します!
子どもたちが自分たちの手で考え、改良を重ねてきたオリジナルパンが、いよいよ店頭に並びます。
学びの軌跡そのものが詰まったパンを、ぜひ味わいにお越しください。

■ 地域と未来をつなぐ活動
パンづくりを通して子どもたちが経験しているのは、
・計画する
・試す
・振り返る
・改善する
・専門家に学ぶ
・誰かに届ける
といった、探究に欠かせないプロセスそのものです。
この学びは今も続いており、子どもたちは「どうしたらもっとおいしくできるか」「どんなパンなら喜んでもらえるか」と、自分たちなりに見通しを持ちながら取り組みを深めています。
SWEETも、地域の学びをともにつくるパートナーとして、子どもたちの挑戦をこれからも応援してまいります。12月の販売会に向けて準備が進む今、子どもたちの姿はますます輝いています!
(配信日:2025/11/25)